なぜ、うちの子は
歯並びが悪いのか?
原因としては様々ありますが、大きく5つあります。
- ❶顎の骨が小さい:軟食傾向の現代では顎は退化してきており、正常な歯が並びきらなくなってきています。
- ❷歯が大きい:乳歯が小さいのに生え変わる永久歯が大きいとスペースがなくなります。
- ❸口呼吸をしている:口呼吸、お口をポカンとあけているお子様が現代は多くなってきています。舌の位置が下がってしまうと、頬や唇の圧力で上顎が小さくなりそれに対して噛み合う下顎も小さくなります。それにより歯のスペースが無くなります。
- ❹習癖がある:指しゃぶり、頬杖、うつぶせ寝、唇の巻き込み等様々ありますが、異常な癖があるとそれ自体が矯正力として働き、歯並びを悪くします。顎骨の成長が旺盛な小児期にこのような癖がついてしまうと歯並びに大きな影響をもたらします。
- ❺遺伝的要因:遺伝的に顔貌が似るようにご家族に受け口の方や、上顎が出ているような方がいればその影響を受けることがあります。
1期矯正、育成矯正とは?
矯正治療でイメージされるのはワイヤーやブラケットをつけて歯を並べたり、スペースが足りなければ抜歯をするという事ではないでしょうか。
これはあくまで成長がある程度完了した患者様に行う矯正治療で、2期矯正(成人矯正)と言ったりします。成長が完了すれば顎はそれ以上大きくなりませんので、スペースを獲得するために抜歯や歯を削る必要が出てきます。
1期矯正(育成矯正)というのは、小児期の間の大人の歯と子供の歯が混在する時期(混合歯列期)に歯並びが悪くなる原因を除去する矯正治療になります。顎の成長が弱く大人の歯がはえきらないような子に様々な装置を使用して顎を広げる治療です。顎が広がれば抜歯や歯を削るような事は避けることもできます。ただし顎骨の成長というのは身長や体重のように予想どおりには行きませんので、1期矯正で成長を促しコントロールしますがそれでも歯を並べるスペースが足りないような場合は、2期矯正に移行することもあります。
当院で使用している矯正装置
マウスピース型矯正装置
柔らかい材質の取り外し式のマウスピース型装置。
<メリット>
- 家にいる時(日中1時間と夜間就眠時のみ)使用
- 型取りが必要ない
- 取り外し式
<デメリット>
- 取り外しなのでつけていないと効果が出ない
- 拡大できる量が限られる
緩徐拡大装置
レジン(樹脂)とバネでできた取り外し式装置。真ん中のスクリューを保護者の方に回して頂き拡大していく。
<メリット>
- 家にいる時(日中1時間と夜間就眠時のみ)使用
- 取り外し式
<デメリット>
- 取り外しなのでつけていないと効果が出ない
- 拡大できる量が限られる
急速拡大装置
金属のバンドで口腔内に固定をして真ん中のスクリューを保護者の方に回してもらい拡大する装置。
<メリット>
- 固定性なので装置の効果が確実
- 拡大できる量が多いため小学校高学年以降でも適応可能
<デメリット>
- 外せないので違和感が大きい
- ブラッシングしづらくなる
バイヘリックス
バンドで口腔内に固定をしてバネの力で拡大していく(主に下顎で)。
<メリット>
- 固定性なので装置の効果が確実
- 拡大できる量が多いため小学校高学年以降でも適応可能
<デメリット>
- 外せないので違和感が大きい
- ブラッシングしづらくなる
セクショナルアーチ
前歯など部分的にワイヤーとブラケットを装着する。拡大をしたあとの最後の仕上げに使用。
上顎前方牽引装置
夜間就眠時のみ使用する取り外し式装置。
反対咬合(受け口)傾向、のある方に使用。
ゴムで牽引し上顎の成長を促す装置。
1期矯正(育成矯正)の費用
※下表に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。
治療内容 | 治療費 | 備考 |
---|---|---|
1期矯正 (保定を除く下記の治療全て+ 急速拡大装置など) |
30万円 (上顎前方牽引装置の場合は+5万円) |
1〜6番目までの歯牙の正常な萌出を促します。 並びきらない場合は2期矯正へ移行することもあります。 |
マウスピース型矯正装置のみ | 5万円 | 取り外し式の上下一体型マウスピース |
緩徐拡大装置のみ | 15万円 | 取り外し式の拡大床 |
セクショナルアーチのみ | 片側:7万5千円 | 前歯のみをブラケットとワイヤーを使用して 歯並びを整えます。 |
保定装置(後戻り防止) | 両側:4万円 | 矯正を終了する場合は後戻りの予防が必要 |
※当院にて1期矯正をされていたが、永久歯の為のスペースが足りず2期矯正に移行された場合はその費用を差し引きます。
- 2期矯正が65万円であった場合は、35万円で引き続き矯正治療を行います。
- つまり、1期矯正から始めたからといって2期矯正から開始される方よりも費用が余計にかかることはありません。
- そして1期矯正で十分な歯並びが獲得できればその時点で矯正治療を終えます。仮に2期矯正の必要性があっても患者様がその時点の歯並びで満足されていれば1期矯正で終了します。
1期矯正のメリットと注意点
メリット
顎の成長を整えられる
永久歯の生え揃っていない1期矯正では、顎の骨格を整える治療が主体になります。この時期に治療することで、上下の顎のバランスや大きさを整えやすくなります。またこれは成長期にしかできない治療です。
抜歯の可能性が低くなる
成人矯正(2期矯正)の場合には、歯列を整えるために抜歯することがあります。これは、顎が小さく歯がきちんと並ぶスペースが少ないからです。一方、小児矯正の場合は1期矯正で骨格を整えるので、将来抜歯する可能性が低くなります。
成人矯正(2矯正)の必要性が減る
小児矯正によって顎が適切に成長したり、歯列が整うことで、大人になってからの矯正治療の必要性が減少します。成人矯正(2期矯正)の必要が生じたとしても、短期の治療で、より良い治療効果が得られます。
定期的なむし歯のチェックも可能
矯正している間は1~2ヶ月に一度、定期的なチェックを受けることとなります。その際、むし歯のチェックや予防などもあわせて行なえます。
注意点
矯正期間が長くなる場合がある
1期矯正から始めても2期矯正の時に余計に費用がかかるということはありませんが、期間は長くなります。顎の成長が終わるのは、男児で18歳前後、女児で15歳前後とされています。顎が適切に成長するまで継続的に矯正治療を行う場合は治療期間が長くなります。
むし歯になる可能性がある
固定性(取り外しでない)の矯正器具に関してはどうしても構造が複雑になりますのでその分食べかすなどがつまりやすく歯磨きもしづらくなりますので保護者の方が仕上げ磨きをしたり、おやつなどの管理や定期検診でむし歯のチェックや予防をすることが大切です。
取り外しの装置であればご家庭での協力が必要
マウスピース型矯正装置などの場合、自分で取り外せるため一定の装着時間を守れないことがあります。矯正治療の必要性を理解し、装着時間を守って治療を続けていくという意思が大切です。装置を頻繁に外していると治療が長引き、予定通りに歯が動かなくなってしまいます。
よくあるご質問
子供の矯正はいつから始めればいいの?
当院では3歳頃から使用できる装置もありますがお子様がある程度治療に理解できるご年齢から開始することが多いです。
装置をきちんと使ってくれるか心配
お子様の状況に合わせて取り外しの装置が良いのか、固定式がいいのか、2期矯正の開始からが良いのかを判断しますのでお気軽にご相談ください。
治療期間はどのくらい?
お子様の成長速度は個人差がありますので一概には言えませんが最低でも1~3年は必要です。矯正治療を終えても成長が完了するまでは定期検診をおすすめします。